冷蔵庫の残り物から始めるエシカル。「もったいない」をなくす食の工夫
「エシカル消費」という言葉を聞くと、特別な商品を選んだり、少し高価なものを購入したりする必要があるのではないかと感じて、少しハードルが高く思えてしまうことはありませんでしょうか。特に、日々の食事の支度では、家計や家族の好みを考えながら、限られた時間の中で効率的にこなすことが求められます。
「フードロスを減らしたいけれど、毎日の献立を考えるのも一苦労なのに、残り物をきっちり使い切るのはもっと大変なのでは」 「せっかく買った食材を無駄にしたくないけど、結局使い切れずに捨ててしまうこともある」 そうしたお悩みは、決してあなただけのものではありません。多くの方が同じように感じていることでしょう。
このサイトでは、完璧なエシカル消費を目指すのではなく、日々の暮らしの中で「これならできるかも」と思えるような、小さな一歩を応援しています。今回は、毎日の食卓から始めるエシカルな工夫として、冷蔵庫の残り物を上手に活用し、「もったいない」をなくすヒントをいくつかご紹介いたします。
食べきることからはじめるエシカル
エシカル消費は、生産背景や環境に配慮された商品を選ぶことだけではありません。今あるものを大切に使い、無駄を減らすことも、立派なエシカルな行動の一つです。特に「食」の分野では、買った食材を最後まで美味しく食べきることが、環境負荷の軽減や家計の節約にもつながります。
冷蔵庫の中身を「見える化」する習慣
まず、冷蔵庫に何が入っているか、把握できていますでしょうか。奥の方に眠っている食材を見つけることなく、また新しいものを買ってきてしまう、という経験は少なくないかもしれません。
ある読者の方からは、このような声が寄せられています。
「昔は冷蔵庫の中がブラックホールみたいで、よく使いかけの野菜を腐らせていました。でもある日、思い切って冷蔵庫の中を整理して、扉にホワイトボードを貼り、中に入っているものと使い切りたいものを書き出すようにしたんです。最初は面倒でしたが、今は買い物の前には必ずチェックする習慣がついて、無駄が格段に減りました。」
このように、週に一度、買い出しの前に冷蔵庫の中をチェックする時間を設けてみたり、メモを活用して中身をリストアップしてみたりすることで、意識的に食材を使い切るきっかけが生まれるかもしれません。
残り物アレンジレシピのアイデア
「残った野菜をどうすれば良いか分からない」「少量だと使い道に困る」と感じることもあるかもしれません。しかし、意外な組み合わせで、新たな一品が生まれることもあります。
- 半端な野菜たち:玉ねぎ、人参、キャベツの切れ端などは、まとめてスープや味噌汁の具にしたり、細かく刻んで卵焼きの具材にしたりすることで、美味しく消費できます。少しだけ残った肉と一緒に炒め物に加えるのも良い方法です。
- 少量のご飯:少しだけ余ったご飯は、冷凍保存しておくのが便利です。また、炒飯やお茶漬けにするだけでなく、少量の水と一緒に煮てリゾット風にアレンジしたり、おやきのように焼いてみたりするのも良いでしょう。
- 使いかけの調味料:冷蔵庫の奥で眠っている様々な調味料も、積極的に活用したいものです。例えば、焼肉のタレを野菜炒めの味付けに使ったり、和風だしで洋風スープを作ってみたりするのも、新たな発見につながることがあります。
「完璧なレシピでなくても、適当に組み合わせたら意外と美味しくできた、ということが増えました」という声もあり、気楽な気持ちで試してみることが大切です。
食材を無駄にしない買い物術の工夫
冷蔵庫の残り物を活用するだけでなく、そもそも無駄を出しにくい買い物方法を少しだけ意識してみることも、エシカルな食生活への大切な一歩になります。
買い物の前に「使い切りリスト」を作る
「今日の晩御飯は何にしようかな」とスーパーに行ってから考えるのではなく、買い物の前に「今あるもので何ができるか」を先に考えてみませんか。冷蔵庫チェックで見つけた使い切りたい食材を中心に、大まかな献立をイメージするだけでも、必要なものだけを買う習慣がつきやすくなります。
もちろん、毎日きっちり献立を立てる必要はありません。例えば、「この野菜は炒め物とスープに使えるから、鶏肉を少し買っておこう」といったように、柔軟に考えることで、食材を使い切る道筋が見えてきます。
消費期限・賞味期限との上手な付き合い方
スーパーで「消費期限間近のため〇〇円引き」という商品を見かけることもあるかと思います。これらを計画的に購入し、すぐに使い切ることで、フードロス削減に貢献できますし、家計の節約にもつながります。
「特売品や割引品を見るとついカゴに入れてしまいがちですが、本当に使い切れるか、その日の献立に合うかを考えて買うようにしています。計画的に買えば、節約にもなって一石二鳥ですね。」
期限表示の知識も役立ちます。消費期限は「安全に食べられる期限」、賞味期限は「美味しく食べられる期限」です。賞味期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない、ということを理解し、五感を使いながら判断することも、フードロスを減らすことにつながります。
完璧じゃなくても大丈夫。少しずつできる工夫を
エシカルな食生活と聞くと、完璧を目指さなければならないと感じてしまいがちですが、決してそうではありません。
「最初は手間だと感じたけれど、続けているうちに、自然と残り物で料理を作るのが得意になりました。冷蔵庫もすっきりして、気持ちが良いです」という読者の方の声もありますように、小さな工夫を続けることで、それがやがて無理のない習慣へと変わっていくこともあります。
「~しなければならない」とご自身を追い詰める必要はありません。できることから一つずつ、時には立ち止まって「今日はこれで十分」とご自身を労わりながら、無理のないペースで取り組んでみてはいかがでしょうか。
私たちも、日々の暮らしの中で「これはちょっとしんどいな」と感じることがあります。そんな時は、またこのサイトで、一緒に「できること」について考えていきましょう。